問い合わせが計測できるようになると、次に知りたくなるのは「その問い合わせは、どの記事を読んだ人から来たのか」です。記事別にコンバージョン(CV)を帰属できれば、どの記事が成果に効いているかが分かり、伸ばすべき記事が見えてきます。

この記事では、メディア経由の問い合わせを記事別に帰属させる計測(CV帰属)を実装した記録を整理します。とくに、SPA(ページ遷移で画面全体を再読み込みしない作り)で見落とされがちな計測の落とし穴に軸を置きます。

筆者(馬込)は、自社メディアで、流入記事と問い合わせを紐付ける計測を実際に実装しました。その経験から言えるのは、SPAでは「普通に入れただけ」の計測が正しく動かないということです。ここを知らないと、数字が静かにずれます。

なぜ「記事別のCV帰属」が要るのか

問い合わせの件数が見えるようになっても、「全体で月◯件」だけでは、次の一手が決まりません。知りたいのは、どの記事が問い合わせにつながっているかです。

記事別にCVを帰属できると、判断が具体的になります。

  • 成果につながっている記事が分かれば、似たテーマを増やす判断ができる
  • 読まれているのにCVにつながらない記事が分かれば、導線を見直す判断ができる
  • どの記事も成果ゼロなら、そもそもの流入や訴求を疑う

つまりCV帰属は、「メディアを感覚で運営する」から「数字で運営する」への分かれ目です。全体の件数を測るのが問い合わせをGA4のコンバージョンとして計測するの話なら、本記事はそれを記事別に分解する話です。

SPAの落とし穴——ページ遷移が計測されない

ここで、多くのチームが踏む落とし穴があります。SPAでは、ページ遷移がGA4に自動で計測されないのです。

従来のWebサイトはページごとにHTMLを読み込み直すので、GA4のタグが毎回動き、ページビューが自然に計測されます。しかしSPA(Next.jsなどの現代的な作り)は、画面全体を再読み込みせず、必要な部分だけを差し替えます。すると、最初のページしか計測されず、その後の記事遷移がGA4に届きません

この状態だと、「読者がどの記事を経由したか」の記録が欠け、CV帰属ができません。問い合わせは計測できても、「どこから来たか」が空白になります。SPAで計測を入れるときは、ページ遷移を自分で検知して、GA4に手動でページビューを送る必要があります。

// SPAではルート変更を検知し、page_view を手動で送る(自動では飛ばない)
useEffect(() => {
  window.gtag?.("event", "page_view", { page_path: pathname })
}, [pathname])

この一手間を入れて初めて、読者がたどった記事の記録がGA4に残り、CV帰属の土台ができます。「計測を入れたのに記事別の数字が出ない」ときは、たいていここが原因です。

流入記事とCVを紐付ける

ページ遷移が計測できるようになったら、次は**「どの記事から入って、問い合わせに至ったか」を紐付け**ます。

考え方はこうです。読者が最初に着地した記事(入口)を記録しておき、問い合わせが発生したときに、そのCVと入口記事を結びつける。こうすれば、「この問い合わせは、あの記事を入口に来た人だ」と分かります。

入口の記録は、読者のセッションが始まったときに保持しておきます。

// 最初に着地した記事を「入口」として記録し、CV発生時に紐付ける
if (!sessionStorage.getItem("entry_article")) {
  sessionStorage.setItem("entry_article", slug)
}

そして問い合わせが成功したとき、この入口記事の情報を generate_lead に添えて送ります。すると、GA4上で「どの記事を入口とした問い合わせが何件か」を集計できます。

入口を「最初の着地」で記録するのがポイントです。問い合わせの直前に見ていたページではなく、そのセッションで最初に来た記事こそが、成果を生んだ入口だからです。ここを取り違えると、成果が「問い合わせフォームのあるページ」に偏って記録され、本当に効いた記事が見えなくなります。

外部流入とも組み合わせる——UTMと入口記事の二層

記事別のCV帰属は、外部からの流入と組み合わせると、さらに解像度が上がります。

自社メディアの記事は、検索だけでなく、外部(SNSや他媒体からの紹介など)からも読まれます。外部からの流入には、リンクにUTMという印を付けておくと、「どの媒体・どの経路から来たか」がGA4で分かります。これと、サイト内で記録した「入口記事」を組み合わせると、二層で流入を捉えられます。

  • UTM:サイトの外の、どの経路から来たか(例:SNS経由か、他媒体の紹介か)
  • 入口記事:サイトに入って、最初にどの記事に着地したか

この二層があると、「SNS経由でこの記事に着地した読者が、問い合わせに至った」といった、経路と記事をつないだ分析ができます。外部の集客施策と、記事の内容の、どちらが効いたかを切り分けられるわけです。片方だけだと、成果の理由が「経路のおかげ」なのか「記事のおかげ」なのか判断できません。二層で持つことで、施策ごとの貢献が見えてきます。

つまずき——計測は「正しくないと、無いより悪い」

CV帰属を実装するうえで、繰り返し感じたのが計測の正確さの重要性です。

記事別のCV帰属は、数字が正しければ強力な判断材料になります。しかし、SPAのページ計測が抜けていたり、入口の記録がずれていたりすると、「効いていない記事が効いているように見える」逆の結論を出しかねません。感覚で運営するより、間違った数字で運営するほうが危険な場合もあります。

だからこそ、計測を入れたら実際に問い合わせをテストして、記事別に正しく記録されるかを確認する工程が欠かせません。「入れた」で終わらせず、「正しく動いている」まで確かめる。この検証まで含めて、CV帰属の実装です。

TechMateの計測設計・開発支援

私たちTechMateは、メディア経由CVの記事別帰属や、SPAでの計測設計を、月単位の準委任で伴走しています。「どの記事が成果に効いているか」を数字で見える状態を、設計から実装・検証まで一緒に作ります。計測が入っているのに記事別の数字が出ない——そんな段階でも構いません。こちらからご相談ください。

よくある質問

Q. SPAだと計測が正しく動かないのは、なぜですか? A. SPAは画面全体を再読み込みせず、必要な部分だけを差し替えるためです。従来サイトはページごとにGA4タグが動きますが、SPAでは最初のページしか自動計測されず、その後の遷移が届きません。ページ遷移を自分で検知して手動でページビューを送る配線を入れないと、記事別の数字が出ないのはこのためです。

Q. 「どの記事から来たか」は、問い合わせ直前のページではダメですか? A. 直前のページで記録すると、成果が「問い合わせフォームのあるページ」に偏り、本当に効いた記事が見えなくなります。記録すべきは、そのセッションで**最初に着地した記事(入口)**です。読者を最初に呼び込んだ記事こそが、成果を生んだ入口だからです。

Q. CV帰属を入れれば、すぐに効く記事が分かりますか? A. 計測の土台はできますが、判断できる数字が貯まるには一定の問い合わせ件数が要ります。件数が少ないうちは、1件の帰属に振り回されないよう注意してください。まずは正しく記録される状態を作り、件数が貯まってから傾向を見る——この順番が確実です。


メディア経由の問い合わせを記事別に帰属させることで、「どの記事が成果に効いているか」が見えるようになります。鍵は、SPAで抜けがちなページ遷移の計測を自分で入れること、そして成果の入口を「最初の着地記事」で正しく記録することでした。この土台があって初めて、メディアを数字で運営できます。

自社メディアのCV帰属がまだ整っていない段階でも構いません。計測設計のご相談から、お気軽にお問い合わせください。