自社プロダクトのSEOメディアを立ち上げようとするとき、「外注するか、内製するか」は最初の大きな分岐です。私たちは、3つの自社プロダクト(TechMate・ExcelMate・SnapBuild)のLPとSEOメディアを、約13ヶ月・外注せず内製で立ち上げました。
この記事は、その総括です。何を内製し、どこでつまずき、何を判断したのか——技術の自慢ではなく、**「SEOメディアを内製で立ち上げるとは、実際にどういうことか」**の記録として、これから同じ判断をする方の材料になればと思います。
筆者(馬込)は、この13ヶ月を実際に手を動かして進めました。技術基盤・SEO・計測・コンテンツ量産までを1つのリポジトリで回した経験から、内製の価値がどこにあったのかを、正直に整理します。
「SEOを外注せず内製する」と決めた背景
SEOメディアは、記事を書いて終わりではありません。技術基盤(サイトの土台)、SEOの実装、アクセス計測、そして記事の継続量産——これらが噛み合って初めて機能します。この全体を外注すると、施策のたびに依頼と待ちが発生し、改善のループが遅くなります。
私たちが内製を選んだ最大の理由は、改善のループを自分たちの手の中に置きたかったからです。「検索順位が上がらない → 原因を調べる → 直す → 計測する」というループを、外注を挟まず自分たちで回せれば、改善が積み重なって複利で効いてくる。ここに賭けました。自社サービスを運営する事業会社にとって、この判断は「開発を内製化する進め方」とも地続きです。
13ヶ月で何を内製したか
約13ヶ月・456コミットで積み上げたものを領域で整理すると、こうなります。3つのプロダクトを1つのモノレポで運用し、ここで確立したやり方を横展開しました。
| 領域 | 内製したもの |
|---|---|
| メディア基盤 | Next.js 15 + Markdown記事システム、動的サイトマップ(記事追加で自動更新) |
| SEO技術 | canonical・sitemap・robots、JSON-LD(Article/Breadcrumb/FAQ)、著者プロフィール、IndexNow、llms.txt |
| 計測 | 問い合わせCVのイベント化、メディア経由CVの帰属、行動分析、本番だけ計測を有効化する配線 |
| コンテンツ量産 | AI記事生成のプロンプトテンプレ、図版の決定論的パイプライン、CIへの開発支援組み込み |
一度に全部を作ったわけではありません。SEO監査で指摘された点を起点に技術を直し、記事を増やしながら計測を足し、量産の詰まりを仕組みで解いていく——必要になった順に、一つずつ内製していった積み重ねです。3プロダクトを1つのモノレポで運営する構成にまとめていたことで、ExcelMateで作った仕組みをTechMateへ、という横展開が安く済みました。図版の量産も、生成AIに頼らない決定論的なパイプラインを内製して解いています。
つまずき——流行りを入れて、外した
正直に書くと、うまくいったことばかりではありません。象徴的だったのが、流行りの技術を入れて、外したことです。
見栄えのする慣性スクロール(滑らかなスクロール演出)を導入したのですが、実際に計測してみると、これがページの「もっさり感」の主因になっていました。体感の重さを数字で分解した結果、演出のために体験を犠牲にしていたと分かり、撤去しました。
この一件で学んだのは、「良さそう」で入れた施策は、計測で検証しないと逆効果になりうるということです。内製していたからこそ、入れるのも外すのも自分たちの判断で素早くできました。外注していたら、この試行錯誤はもっと重かったはずです。
こうした判断を支えたのが、計測を早い段階で内製したことでした。問い合わせをコンバージョンとしてイベント化し、どの記事から相談につながったかを追える状態を作っておいたことで、「もっさり感」のような体感の問題も、感覚ではなく数字で分解できました。計測がなければ、慣性スクロールの撤去も「なんとなく重い気がする」で終わり、判断が鈍っていたはずです。測れるようにしておくことが、速く正しく判断するための前提でした。
量より索引——薄い記事を「あえてGoogleに出さない」判断
もう一つ、方針を大きく変えた判断があります。記事の「量」から「索引設計」への転換です。
立ち上げ初期、薄い記事を量産した時期がありました。しかし、薄い記事を大量にGoogleへ出すと、サイト全体の評価をむしろ下げかねません。そこで、薄い量産記事を一旦**noindex(検索に出さない設定)**にし、本格的な柱記事へ昇格させてから索引に戻す、という設計に切り替えました。
「作った記事を全部出す」のが当たり前に思えますが、何を出し、何を出さないかを設計することが、メディアの質を守るうえで効きました。量を追うフェーズから、索引を設計するフェーズへ——この転換も、Googleへの見せ方を自分たちで判断できる内製だからこそ、素早く舵を切れました。
内製の本当の価値は「意思決定の内部化」
13ヶ月を振り返って、内製の価値は「安さ」でも「速さ」でもありませんでした。本質は、意思決定を自分たちの中に持てたことです。
SEO監査 → 修正 → 計測 → 次の一手、というループを、外注を挟まず自分たちで回せる。すると、判断の精度が回すたびに上がり、改善が複利で効いてきます。流行りを外す判断も、索引を設計し直す判断も、内製だからこそ素早くできました。そして副次的に、**「自分たちで作って運用している」こと自体が、技術力の証明(E-E-A-T)**になりました。SEOやWeb開発を語る資格は、外注の管理経験ではなく、自分たちの手で作って運用してきた事実にこそ宿ります。この記事そのものが、その記録です。
TechMateの内製化・開発体制づくり支援
私たちTechMateは、こうした自社プロダクトの内製化や開発体制づくりを、月単位の準委任で伴走しています。技術基盤の設計から実装、SEO・計測の配線まで、社内に判断が残る形で並走します。内製化や開発体制の相談はこちらからどうぞ。
よくある質問
Q. SEOメディアは外注と内製、どちらがいいのでしょうか? A. 「作って終わり」でよいなら外注も選択肢ですが、継続的に改善したいなら内製に分があります。SEOは監査→修正→計測のループを速く回すほど複利で効くため、そのループを外注で挟むと改善が遅くなります。自社プロダクトを長く育てる前提なら、判断を内部に持てる内製の価値が大きくなります。
Q. 内製には、どれくらいの体制が必要ですか? A. 私たちは少人数で、必要になった順に一つずつ内製していきました。最初から全部を揃える必要はありません。むしろ、複数プロダクトを1つのリポジトリにまとめ、一度作った仕組みを横展開できるようにしておくと、少人数でも回せます。大事なのは人数より、改善のループを自分たちで回す設計です。
Q. 内製で最初に手をつけるべきは何ですか? A. 記事を増やす前に、計測とSEOの土台を先に作ることをおすすめします。計測がないまま記事を量産すると、何が効いているか分からないまま打ち手が積み上がります。まず「どの記事がどう効いているか」を見える状態にし、そのうえで量産と索引設計を進めるのが、遠回りに見えて近道でした。
自社プロダクトのSEOを内製で立ち上げるとは、記事を書くことではなく、改善のループを自分たちの手の中に置くことでした。流行りを外す判断も、索引を設計し直す判断も、内製だからこそ素早くできた——13ヶ月を振り返って、そこに価値があったと感じています。
自社メディアや開発体制を内製で立ち上げるか迷う段階でも構いません。内製化・開発体制のご相談から、お気軽にお問い合わせください。